結局リスクを負うのは賃貸オーナー? 入居者高齢化に伴う賃貸リスクと「孤独死」に備える保険
保険事業部です。
前回は、賃貸マンション等で発生するリスクについて、賠償責任と保険についてお話しました。今回も引き続き、賃貸経営上のリスクについて考えてみたいと思います。その一つは、高齢入居者の「孤独死」についてです。最近、ニュースで取り上げられる場合もあり、増加傾向にあると言われていますが、具体的にはどのような状況になっているのでしょうか。まずは、近年の推移から見てみましょう。
1.一人暮らし高齢者の現状
次のグラフは、東京23区内で自宅で、一人暮らしで65歳以上の死亡者数の推移です。平成18年以降の10年間で見ると、平成18年が4,896人、平成27年が6,267人で、約1.3倍となっています。今後も高齢者の単身世帯は増えると見込まれ、この傾向は続くと思われます。
(東京都福祉保健局東京都監察医務院「一人暮らしの者の死因」より作成)
「孤独死」等(孤独死の他、自殺や事故死を含む)が発生すると、部屋の清掃等の費用がかかります。これらの費用は、その性質上、通常の料金では引き受け手が少ないため、高額となる可能性があります。具体的には、どんな費用が発生するのでしょうか。
2.想定される費用
孤独死に伴う費用としては、いくつか挙げることができます。特殊清掃の場合、各現場での作業内容や所要時間が異なるため一概には言えませんが、目安としては次のような例があります。
(1)清掃費用
・ 床上の特殊清掃 30,000円~
・ 浴室清掃 50,000円~
・ 汚物清掃 50,000円~
遺体発見までの日数、腐乱状態等で金額には幅がありますが、数万円から数十万円、場合によっては100万円以上の場合もあります。
(2)清掃以外の費用
・ 畳の撤去 1枚あたり2,500円~
・ 消臭作業 30,000円~
・ 害虫駆除 15,000円~
・ 遺品整理 100,000円程度(搬出量と処分費用による)
・ リフォーム 別料金が一般的
なお、弊社の管理物件での事故事例を見ますと、クロスとクッションフロアの全面張り替え、ハウスクリーニングの実費負担、家賃賠償として、家賃共益費の2年間分(家賃62,000円+共益費6,000円)合計で約180万円というものがあります(なお、賠償の有無については、事例ごとで異なる場合があります)。
家族や親族がいれば、亡くなった後の処置はその方たちにやってもらえるかもしれません。問題は、身寄りがない人が亡くなった場合です。遺族等がいない場合でも次の入居者に部屋を貸せる状態にする必要があることから、「孤独死」の問題では、結局のところ、リスクを負っているのはオーナー様ということになります。
3.どんな保険に入るべきか?
このように考えると、オーナー様にとってのリスクは次の通りです。
・ 空室リスク・・・・・・ 死亡事故があった部屋に新しい入居者がない。
・ 原状回復費用・・・・・ 部屋に残っている遺品を整理する必要がある。
・ 転居リスク・・・・・・ 隣室などの入居者が転居するおそれがある。
これらのリスクを避けるためには、どのような保険があるのでしょうか。
(1)家主費用を補償する保険
まず、家主費用を補償する保険です。賃貸住宅内での死亡事故発生に伴う空室期間、家賃値引期間の家賃の損失や、清掃、脱臭、遺品整理等にかかる費用を補償します。例えば、死亡事故発見日から一定期日以内に被保険者(オーナー様)が、賃貸可能な状態に修復をする費用(原状回復費用)や、遺品整理、見舞金等の事故対応費用のなどです。死亡事故対応費用の保険金で、1回につき100万円を限度に支払われるものもあります。
(2)家賃収入を補償する保険
次に、家賃収入を補償する保険です。例えば、事故等によって賃貸建物の家賃収入が得られなくなった場合や、死亡事故により新たな入居者の家賃を値引きした等の損失額を補償するものです。事故発見日から一定期間内に空室となった場合、契約時の約定復旧期間内に生じた家賃損失に対して「家賃収入保険金」をお支払いするものです。
なお、上記(1)(2)とも保険商品によっては、お支払条件、保険金額が異なる場合があります。
(3)加入時の注意事項
補償を付けようとする場合、まずは、加入済の保険証券をご覧いだだき、これらの補償を付けることができるかどうかをご確認下さい。もし、既存の保険に付けることができない場合は、上記の補償が可能な保険に切り替える必要があります。詳しくは、保険事業部までお問合せ下さい。
4.まとめ
今回は、賃貸住宅経営上のリスクの一つである「孤独死」と保険についてお話しました。内容をまとめると、次の3点になります。
1.高齢化に伴い、「孤独死」が賃貸住宅経営の課題となりつつある。
2.「孤独死」等の問題は、最終的にはオーナー様のリスクとなる可能性がある。
3.家主費用や、家賃収入を補償する保険についてご検討を。
高齢化い伴い、「孤独死」は今後増加すると思われます。「孤独死」だけでなく、これを機会に賃貸住宅経営上のリスクについて、再度ご検討されることをお勧め致します。
私たちのまわりには様々なリスクがあります。どんなリスクがあるか、どんな補償(保障)を付けるべきか、その都度アドバイスできるパートナーが必要ではないでしょうか。損害保険も、生命保険も、保険のことなら保険事業部へ。
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