個人家主・賃貸オーナーが直面するマイナンバーのリスクについて
2015年10月からマイナンバー(個人番号)の通知が始まります。「マイナンバー法」(※1)が施行され、2015年10月5日時点での住民票をもとに一人一人に個人番号「マイナンバー」が簡易書留で通知されます。これにより個人の識別が明確になり、①公的サービスや給付においては公正な給付と負担が確保される。②行政運営が効率化される。③公的申請、届け出において国民の手続きの負担が軽減される。 と言われています。賃貸オーナー様にも関係が深いマイナンバーについて、これから3回にわたって解説していきたいと思います。
マイナンバー制度についてはこちらをご覧ください
・マイナンバー 社会保障税番号制度がはじまります。:内閣府説明資料(PDF)
マイナンバーを提供する先は公的機関だけではない
税・行政手続き・社会保障・年金・災害対策給付などの公的手続きの効率化、手続きの負担の軽減を目的とした制度ですから、これら公的窓口だけで使用するものと思われがちですが、それだけではありません。正社員やパートタイム、アルバイトに拘らず給与の支払いを受ける雇用主(民企業、個人事業主も含みます)にマイナンバーを提供する必要があります。併せて扶養者が居て、扶養控除を受ける場合には扶養者のマイナンバーの提供も必要となります。その他、証券取引、マル優、マル特などの制度の利用、外国送金などの場面で、銀行や証券会社にマイナンバーの提供を求められることになります。
賃貸オーナーがマイナンバーを提供する場面とは
法人や個人事業主は1年間に支払った給与や不動産の使用料などを税務署に「支払調書」で報告するのですが、この支払調書に支払先である貸主の住所氏名に合わせてマイナンバーを記載することになっています。これらの理由から、個人家主のオーナー様で、法人や個人事業主に対して賃貸借契約を結び、賃料を受け取っている場合は、賃借人である法人、個人事業主にマイナンバーを提供する必要がでてきます。
マイナンバーを提供するリスク
マイナンバー制度については国民から、税・行政手続き・社会保障・年金などの公的機関で利用されるだけでなく証券取引や金融資産の口座にも紐づくため、マイナンバーが漏えいしたりすると不正に使用され財産やその他の資産に被害が及ぶのではないかという懸念が多く挙げられています。
これらの懸念を想定し、マイナンバー制度に実現にあたり従来の個人情報保護法よりも重い罰則が規定された「マイナンバー法」(※1)が施行されマイナンバーの取扱いについて細かく定められているのですが、マイナンバーの提供を受け、取り扱う立場の企業、あるいは個人事業者がマイナンバーを取り扱うに当たって適格な状態にあるかどうかを判別する術がないのが実情です。
帝国データバンクの調査によるとマイナンバー制度の内容を理解している企業は約4割にとどまるとのことです。(※2)
「マイナンバーを取り扱うに当たって取り決めた法律はあるけれど法律を遵守し取り扱う力量があるのかどうかわからない」という状態で企業や個人事業者相手にマイナンバーを提供するのも抵抗感があります。では、どのようにすれば良いのでしょうか? 「賃借人からマイナンバーの提供を求められた際に確認しておきたいポイント」について次回お話しします。
(※1) マイナンバー法 : 「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」
(※2) 2015/5/19 時点での発表データ
資料引用元
・「マイナンバー制度に対する企業の意識調査」 帝国データバンク
文責:管理部・システム部 大江
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